テレビの映りが悪い等の理由で、テレビアンテナ用のブースターを購入し設置しようと考えている人もいらっしゃるのではないでしょうか!?そこで今回は、テレビアンテナ用のブースターについて、機能・仕様・設置場所・調整方法について解説させていただきます。
テレビ・アンテナ用のブースターて何!?
ブースタとはテレビ受信で使用する地上波(UHF)や衛星波(BSCS)に対応した高周波用の増幅器です。アンテナからテレビまでの経路に使用している同軸ケーブルでの受信信号の減衰(損失)、分配器での減衰(損失)を補うための機器です。また受信強度が低い地域での受信信号の増幅のためにも使用します。
ブースターの設置が必要な場合
アンテナまでの受信電波(強度)が弱い場合
アンテナからテレビまでの経路で電波(信号)の減衰(損失)が多い場合
アンテナまでの受信電波(強度)が弱い場合
電界強度の弱いエリアでは、ブースターの設置が必要になる場合があります。
電界強度とは
電界強度とは届く電波の強さを示し、これを電界強度といいます。電波の送信を行う電波塔からの距離や障害物の有無を加味して電界強度の強さ別にエリア分けしたものを、電界地域と呼びます。「強電界地域」「中電界地域」「弱電界地域」の3つに分けられ、「強電界地域」では屋外から屋内用アンテナまで受信できるケースが多くなります。 一方で、「弱電界地域」になると、電波を受信しやすい屋外用アンテナのみでしか地デジの電波を受信できない場合がほとんどです。
アンテナからテレビまでの経路で電波(信号)の減衰(損失)が多い場合
ブースターの使用は、アンテナで受信した電波が経路(アンテナからテレビ)で減衰(損失)が多い場合に設置します。
ブースターが電波を増幅させるとは!?
アンテナでの受信強度が強い場合は、アンテナとテレビを直接繋ぎます。アンテナとテレビの接続は、同軸ケーブルにて行います。この同軸ケーブルは、距離が長くなればなるほどアンテナで受信した電波(信号)を減衰(損失)させます。 テレビでは、正常に映像を映すための入力範囲が決められています。この入力を下回った場合と上回った場合ににテレビは正常に映像を映さなくなります。 電波強度が弱い地域や場所では、テレビの入力信号をテレビの入力範囲に入れるために、ブースターを使用し信号を増幅させます。
図は、アンテナとテレビをブースターと分配器を介して接続した図です。ブースターは電波を受信したアンテナの後に接続します。分配器は、複数台のテレビを接続する場合に、アンテナで受信した電波(信号)を分配する機器です。接続はすべて同軸ケーブルにて接続します。
グラフは、アンテナとテレビを同軸ケーブルで直接接続した場合と、アンテナとテレビをブースターと分配器を介して接続した場合の受信電波(信号)の減衰(損失)を示しています。 青色の線が、アンテナとテレビを直接接続した場合、赤色の線がアンテナとテレビをブースターと分配器で接続した場合です。 アンテナとテレビを直接接続した場合は、テレビまで接続している同軸ケーブルの減衰(損失)があります。この減衰(損失)があっても、テレビが受信した電波(信号)がテレビ側で推奨(規定)している受信範囲に入っていれば、正常にテレビを見る(映す)事が可能です。 一方で、この電波(信号)がテレビの推奨(規定)範囲になっていない場合は、テレビを正常に映す(見る)事ができなくなります。 テレビの入力時に電波(信号)が低い場合に、アンテナ後にブースターを設置して、アンテナから受信した信号をブースターで増幅し出力します。 複数のテレビを使用する場合は、分配器を設置する場合があります。この場合は、その分配器でも信号の減衰(損失)が起きるため、その減衰(損失)を補うためにブースターを設置します。 つまり、ブースターは、受信電波(信号)が弱い場合、分配器を使用している場合、経路に使用している同軸ケーブルでの減衰(損失)が多い場合に設置します。
ブースターの仕様について
ブースターには重要な数値が3つあります。
使用帯域
使用帯域とは使用できる(増幅できる帯域)をしめしています。 表記例
これは、UHF、CS/BS-IFの帯域(周波数)を増幅出来る事を示しています。
利得
・入力した信号を基準として、[dB]で表します。 ・同じ機種でも、使用帯域別に値が変わります。 入力した信号をどれだけ増幅できるかを表す数値です。利得30dBという表記であれば、入力信号に対して30dB増幅出来ると言う意味になります。この利得は、増幅できる帯域とその増幅量が併記されています。
定格出力
定格出力は、受信品質を保ったまま増幅できる最大の出力レベルです。単位は[dBμV]で表記されています。ブースターは、大きなレベルの信号を入力した場合、そのまま増幅するわけではありません。増幅できる信号には限界があります。定格出力を超えて使用するとデジタル信号が大きく劣化し、場合によっては受信できなくなります。 また、入力信号は定格出力から利得を引いた信号強度以上の信号を入力すると、ブースターの入力オーバーとなるため注意が必要です。
ブースターはどこに設置するの!?
ブースターはアンテナで受信した電波(信号)を増幅させる機器です。アンテナで受信した電波(信号)にはノイズと呼ばれる異常な信号が入っています。ブースターはこのにノイズも正常な信号と同様に増幅します。 正常な信号は『C』、異常なノイズは『N』と略され、テレビ側の入力信号の範囲として『C/N』が規定されています。この『C/N』は、正常な信号と異常なノイズの比になっていて、テレビに入力される受信信号が規定の範囲である場合のみテレビが正常に映ります。 ブースターは、アンテナの後に設置されます、アンテナからブースターまでの距離が長くなると、アンテナとブースターを接続する同軸ケーブルで電波(信号)が減衰(損失)します。アンテナからブースターまでの距離が長い場合、その減衰(損失)が大きくなります。
図は、正常な信号とノイズの関係を示したグラフです。テレビ『C/N』の範囲が規定されています。『C/N』が小さい場合、つまりノイズの割合が正常な信号に対して大きい場合に『C/N』が小さくなります。 ブースターの入力時にノイズを抑えるためには、経路での減衰(損失)が最も少ない場所、すなわち、アンテナの直後にブースターを設置した方が、ノイズの影響を排除することが可能になります。従って、ブースターの設置位置は、出来るだけアンテナの直後にした方が良いことが分かります。
ブースターの調整について
ブースターも設置後、調整が必要な場合があります。アンテナの信号強度は強ければ良いと言うわけではありません。強すぎる場合は、ブースターの入力信号推奨レベルまで落とす必要があります。この場合は、ブースターに内蔵されているアッテネーターを使用します。ブースターの調整は、電測計で信号を測定し調整するのがおすすめです。 自分でブースターを設置する場合、利得最大にしてしまうケースが多いが逆に入力レベルオーバー(過入力)となる可能性あるため注意が必要です。
ブースターの異常発振(トラブル)
ブースターを使用した時のトラブルとして異常発振がある。これはシールド性能の悪い同軸ケーブルを使用しブースター出力側のケーブルとブースター入力側のケーブルを束ねたり、地上波アンテナとブースターを接近させる等により出力信号が入力信号へ回り込み信号が ループして発生する現象を言います。 異常発振が起きると異常電波が漏れて場合によって通信電波に混信を与えてしまう場合があるのでシールド性能の良い同軸ケーブルを使い、 入力側と出力側のケーブルは接近させず、適切なレベル調整を行い、地上放送では念のためアンテナとブースターを1m以上離すなどの対策が必要です。 4K8K放送では3224MHzまでの帯域を使用するため異常発振等により電波漏洩が起きるとに特に大きな障害を与えてしまう可能性があるため注意が必要です。
ブースター工事は自分でできる!?
ブースターの取り付け工事は、細かく各部の数値を測定しながら最適な設定します。ブースターを自分で購入して取り付けをしようと思ったが、設定等がうまく出来ず、電気屋さんや専門業者を呼ぶ場合があります。 はじめから電気屋さんや専門業者を依頼し、ブースターも電気屋さんや専門業h社から購入した方が、合計金額として安くなる場合があります。従って、ブースターの工事は、近くの電気屋さんや専門業者に依頼するのがおすすめです。